大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和40(オ)317 判決

主 文

原判決引用の第一審判決事実摘示一(ニ)記載の手形金請求に関する部

分につき、原判決を破棄し、右部分につき本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。

その余の部分につき本件上告を棄却する。

前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人吉住慶之助の上告理由一(一)について。

論旨は、甲二号証の一ないし四(本件各約束手形)の成立を上告組合が争つてい

るにも拘らず、原審がその成立を当事者間に争ないものとして判断したことの違法

をいうが、第一審の第六回口頭弁論期日において上告組合が右書証の成立を認めた

旨の記載が書証目録(記録五二丁)に存するから、右成立に争のあることを前提と

する所論は採用できない。

同一(二)および二について。

原判決(引用の第一審判決を含む、以下同じ)が確定したところによると、本件

約束手形四通は上告組合が第一審相被告D組合および同Eと共同で振り出したもの

であるが、そのうち所論(ニ)の手形については、その振出当時上告組合の代表者

は右振出人欄に表示されているFではなくて、Gであつたというのである。�

しかし、右原判決は、上告組合の代表者として右手形の振出行為を現実に行つた

者が代表者退任後のFであつたというのか、当時代表者であつたGが前任者Fの名

義を用いて振出行為を行つたというのか、それともF、G以外の者が何らかの権限

に基づいてF名義でこれを行つたというのか、また、Fの退任登記、Gの就任登記

は既になされていたのかどうかも明確にしていない。すなわち、右振出行為が上告

組合の代表権限ないし代理権限ある何びとによつてなされたものかの認定判示が明

確でない。この点を明確にしないで、原判示の事実関係から直ちに、Fを代表者名

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義に表示した右振出行為を無効と解すべきでないとした原判決には、審理不尽、理

由不備ないし理由そごの違法があるといわねばならず、これを指摘する論旨は理由

がある。�

従つて、本件約束手形中、所論(ニ)の手形の手形金に関する請求部分につき原

判決は破棄を免れず、該部分について本件を原審に差し戻すのを相当とするが、そ

の余の部分については論旨はすべて理由なく、上告を棄却すべきである。

よつて、民訴法四〇七条、三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官

全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

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